観賞記~映画「火口のふたり」
恋愛と結婚は別モノ
理性と欲求は別モノ
いろいろ言われても実際にそうであるからしてさまざまな人間模様が起きる。そこは否めない。
で、この映画です。
別れた男女が女の結婚を機に再会し、やけぼっくい大炎上という、ややもすれば昼ドラな設定なんだけども。
登場するモノクロ写真がなにしろエロ美しく、この昼ドラネタを見事に退廃的・叙情的映画作品に昇華させている。
野村佐紀子さんという写真家だそうです。アラーキーに師事と知り納得。
この映画で面白いのは「やけぼっくい着火・鎮火方式」の男女差を明確に描いていること。女の誘惑に耐えて耐えて、火が着いちゃったら延焼が止められない男。あからさまに誘惑しておきながら切り替えの早い女。まさに男女あるある(笑)
結婚前だけね、と「身体の言い分」に従うふたり。まぐわい、食べ、眠り、過去を語り、まぐわい…そして火口のマグマとなりました…マディソン郡の橋のように灰にはなりませんでしたとさ。
柄本佑のクズ男ぶりがなかなかで、「いだてん」の"シマちゃんの優しい旦那さん"のイメージを見事にぶっ壊してくれました。
瀧内公美の奔放さもよかった。いやらしいのに爽やかささえ感じる。あまり意識してなかったけどいろいろ出演されている…って思ったら「凪のお暇」のマウンティングOLやんか(笑)筒井真理子的な空気を感じます。熟していろんな役をやっていただきたい。ぜひぜひ。
電話で声だけ出演の柄本父役が、柄本明だったのが憎い演出!